第五回 ダメじゃん小出

30周年を迎える野毛大道芸。初回から野毛大道芸の歩みを見てきた森直実(野毛大道芸アートディレクター・アドバイザー)が語るディープな芸人列伝。

 

ダメじゃん小出

アフター・クラウディ・カンパニー(ACC)の大島幹雄さんから紹介を受けて、初めて小出さんにお会いしたが、それからもう20年近くが過ぎた。初対面の時、非常に頭の回転が早い人だと思ったが、その最初の印象は間違っていなかった。

 

その後、各地の大道芸イベントで遭遇することが多くなった。「ダメじゃん小出」さんは、中国雑技のような超人的な技を見せるわけではないが、単純とも言える芸が実に面白い。単純であるから明快であり、大道芸的である。名人、故「早野凡平」さんクラスの達人であると私は思っている。時事ネタを素早く取り込むのが巧みだ。エスプリの効いた辛口の話芸で、かなり強烈でブラックに近い事があるが嫌味がなく、観客を自然に笑いに誘い込んでしまうのは流石で、これは芸の力だ。ブラックの中にダジャレを上手に織り込む。最近では「甘利大臣は、アマリにも酷い!」などというダジャレを飛ばしていた。

 

2015年、「ダメじゃん小出」さん「小出直樹」として、突然に東京都大田区の区議会選に立候補したのには、正直驚いた。今まで、ブラックの話芸で権力者をいじくっていたのは本気であったのだと、再認識した。この時の政策ビデオは、「ユーチューブ」で今も見る事ができる。政党や市民団体のバックアップもなく、一匹狼の「小出直樹」は善戦虚しく、落選してしまった。私は、大田区民ではないから、一票投じる事ができず残念であった。

 

ユーチューブで「ダメじゃん小出」の映像を楽しむ事ができるが、2013年「大道芸ワールドカップin静岡」での、「張 海林」とのカラミは大道芸ライブ感タップリのもので、大道芸の面白さを堪能させてくれる。オススメ映像である。私は、この現場に居合わせて居なかった事が残念でならない。

 

「ダメじゃん小出」さん、野毛のにぎわい座の地下「シャーレ」でも時々公演をしている。大道とは異なり、私の地元野毛で座って観られるのが嬉しい。シャーレでの鉄道ネタは大いに笑った。小出さん、実はかなりの鉄道マニアでもある。どうも「乗り鉄」ではなかろうかと思う。

 

「ダメじゃん小出」さん、4月23・24日、30周年「野毛大道芸会場」に、登場する。今回は、ソロ公演であるけれど、前回ここで取り上げた「張 海林」共々、ご高覧あれ!

 

4月23・24日に開催される、30周年記念「野毛大道芸」をお楽しみください。

 

(写真/文 森 直実)

野毛大道芸

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